承認・監査・事故対応

プロンプトインジェクション事故対応|AIエージェントを止めて安全に復旧する

事故の初動では、モデルの返答を直す前に、ツール、認証情報、セッションを止めます。証拠を残し、影響範囲を確定してから段階的に戻します。

古野光太朗古野光太朗·2026.09.19·最終更新 2026.10.06

主な対象読者情シス・AI導入担当

参照した文書の指示にAIが従い、意図しないツール操作を始めた。こうした事態では、返答の修正より先に、進行中の処理と影響範囲を確認する必要があります。NISTのリスク管理の考え方を踏まえ、停止、証拠保全、復旧の手順を示します。

一次資料:NISTの生成AIリスク管理の枠組み(2024年7月26日、2026年4月8日更新、確認:2026年10月6日)

to incorporate trustworthiness considerations into the design, development, use, and evaluation of AI products, services, and systems.

出典:NIST AI RMF Generative AI Profile。NISTは、AIの設計・開発・利用・評価を通じて信頼性を考慮する枠組みを示しています。以下の初動手順は、その考え方を踏まえたTechWorkerの設計案です。

プロンプトインジェクション事故で停止、証拠保全、影響確認、復旧へ進む設計例
TechWorker作成:事故発覚後に止める対象と、復旧前に確認する条件を図示しています。 製品の公式画面や導入効果の実測ではありません。画像を押すと拡大できます。

NISTは生成AI事故を継続的なリスク管理へ戻す

NISTの生成AIプロファイルは、生成AIのリスクを統治、把握、測定、管理の循環で扱います。事故対応も一度の停止で終わらず、原因と影響を測り、対策と運用へ戻す作業です。

プロンプトインジェクションでは、表示された不正出力より、エージェントが何を実行したかが被害を決めます。

最初の15分で実行経路を止める

対象エージェントの待ち行列を止め、外部送信ツールと書込みツールを無効にします。漏えいの可能性がある認証情報は失効し、ブラウザセッションとOAuthトークンも切ります。モデルだけを停止しても、別実行処理が待ち行列を処理すれば事故は続きます。

停止時刻、止めた構成要素、担当者を記録します。記録削除処理は一時停止し、証拠保全先を読取り専用にします。

入力文だけでなくツール呼出しと外部システムを追う

入力文、参照したウェブ・ファイル・メール、モデル応答、ツールの引数、ツールの結果、承認履歴を同じ要求IDでつなぎます。外部システム側では、送信済みメール、変更レコード、ダウンロード、権限変更を確認します。

影響が未確定なら「漏えいなし」と報告しません。確認済み範囲と未確認範囲を分けます。

原因別に境界を直して段階復旧する

外部文書が原因なら、その取得経路を隔離し、命令として扱わない表示へ変えます。ツール権限が広すぎたなら権限範囲を縮めます。承認をすり抜けたなら、承認対象と実行内容をハッシュ値で結びます。

復旧は読取り専用の作業から始め、次に下書き、最後に外部送信へ進みます。各段階で同じ攻撃入力を再現し、以前の経路が失敗することを確かめます。

出典と確認範囲

古野光太朗
古野光太朗 / 株式会社TechWorker 代表取締役 CEO兼CTO

上場企業を含む45社・2,500名の生成AI導入・研修支援で得た実務知をもとに、導入・運用・顧客理解を扱っています。この実績はTechWorkerの生成AI支援実績であり、個別製品の導入実績を示すものではありません。

プロンプトインジェクション事故へ備える

権限停止、証跡保全、影響確認、安全復旧を既存の事故対応へ接続します。

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