機密データの保護

生成AIのDLP設計|入力・出力・検索・記録で機密データを止める【2026】

生成AIの情報漏えい対策は、入力文だけでは足りません。モデルの出力、検索で取り出す文書、実行記録も含めて、遮断・伏せ字・通知を使い分けます。

古野光太朗古野光太朗·2026.09.11·最終更新 2026.10.06

主な対象読者情シス・AI導入担当

生成AIへ送る入力を検査しても、検索で取り出した文書や実行記録に機密情報が残ることがあります。情報漏えいを防ぐDLPの設計では、情報が通る場所ごとに対策が必要です。Cloudflareの入力側の検知図から、その範囲を確認します。

Cloudflare AI Security for AppsがLLMへの入力文内の個人情報を検知し、WAF規則で緩和する流れ
Cloudflare公式:個人情報漏えいの検知・緩和この図は入力側の個人情報検知です。記事では出力、検索、記録まで範囲を広げて読み解きます。 画像をクリックすると原図を開きます。原典ページ/利用条件(確認日:2026年10月6日)

公式図は個人を特定できる情報(PII)がモデルへ入る前の検知を示す

Cloudflareの図は、要求内のPIIを検知判定項目へ変換し、WAF規則で緩和する流れを示します。入力時点で止めれば、モデル提供事業者や後続記録へ渡る量を減らせます。

この図はAI Security for Appsの入力側対策です。別製品のAI Gateway DLPはBetaで、AI Gatewayを通る要求・応答本文のテキストを検査します。base64で符号化した画像や添付、バイナリ部分、外部URLの内容は検査しません。

応答側でSSE(逐次配信)を検査すると、応答全体を受け取ってから判定するため、最初のトークンまでの待ち時間が増えます。低遅延が必要な経路では、要求だけを検査するか、応答検査用のゲートウェイを分けます。

同じ秘密が4つの経路を移動する

利用者の入力文には顧客名や契約情報が入ります。モデル出力は入力を言い換えて再掲することがあります。RAGは閲覧権限の異なる文書を検索し、観測記録は入力文と応答を長く保存します。

情報漏えい防止(DLP)の規則は、この4経路ごとに置きます。入力を許可しても、別部署のRAG結果を返してよいとは限りません。

遮断・伏せ字・通知を情報種別で分ける

AI Gateway DLPの公式資料で確認できる処理は、検知結果を付けて原文を返すFlagと、応答を捨ててエラーに替えるBlockです。伏せ字や置換を製品機能として扱いません。

ここからはTechWorkerの製品横断設計です。パスワード、APIキー、アクセストークンは遮断します。電話番号やメールアドレスは、業務上必要ならアプリケーション側で伏せ字や置換を使います。社内用語や案件コードは誤検知が多いため、まず通知で観測し、対象業務を確認してから止めます。RAGの閲覧権限と記録の保存制御も、AI Gateway DLPとは別に実装します。

規則の結果には、検知分類、処理、対象システム、例外承認者を残します。原文そのものを監査記録へ複製しない設計が必要です。

記録収集自体を新しい漏えい経路にしない

調査のために入力文の全文を保存すると、DLPで止めた秘密を別の場所へ残します。本文を保存する必要がなければ、検知分類、ハッシュ値、要求IDだけで追跡します。

保存が必要な場合は、暗号化、閲覧権限、保持期限、削除手順を先に決めます。障害対応者が復号できる条件も記録します。

出典と確認範囲

古野光太朗
古野光太朗 / 株式会社TechWorker 代表取締役 CEO兼CTO

上場企業を含む45社・2,500名の生成AI導入・研修支援で得た実務知をもとに、導入・運用・顧客理解を扱っています。この実績はTechWorkerの生成AI支援実績であり、個別製品の導入実績を示すものではありません。

生成AIのデータ流出境界を点検する

入力、検索、回答、記録を棚卸しし、block・警告・マスキング・承認を分けて設計します。

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