料金・費用 / Pricing & Cost

AIインタビューの料金・費用相場

デプスインタビューの見積もりは、企画・リクルート・謝礼・実査・会場・書き起こし・分析の積み上げでできている。AIインタビューはこのうちどの費用を消し、何を残すのか——「いくら安くなるか」の先にある「同じ予算で何を最大化するか」まで、公開されている相場をもとに2026年の費用の構造を整理する。

古野光太朗古野光太朗·2026.07.25·最終更新 2026.07.25·読了 9分
AIインタビューの料金・費用相場|従来のデプスインタビューの費用構造と何が変わるか
この記事の要点
  • 従来のデプスインタビューを外部委託した場合の総額は、公開相場でおおむね20万〜100万円。費用は工程の積み上げで決まり、リクルート・謝礼・モデレーター稼働など人数に比例する部分が大きい。
  • AIインタビューでは会場・モデレーター稼働・書き起こしの費用が構造的に消え、問いの設計・謝礼・結果の解釈は残る。人数を増やしたときの増分費用が小さくなることが本質的な違い。
  • 正しい問いは「いくら安くなるか」ではなく「同じ予算で何を最大化するか」。実査で浮いた費用は、n数の拡大と納品物の質への再配分に使う。

デプスインタビューの見積もりを取ると、会社によって総額が倍以上違うことがあります。安い見積もりを選んでよいのか、高い見積もりには何が含まれているのか——内訳の構造を知らないまま総額だけを比べると、判断を誤ります。この記事では、まず従来のデプスインタビューの費用を工程別に分解して公開相場を確認し、次にAIインタビューでどの工程の費用が消え・残り・変わるのかを構造で整理します。そのうえで、「安くする」より先に考えるべき予算配分と、見積もり比較のチェックリストまで落とし込みます。

従来のデプスインタビューの費用相場はいくらか?

外部委託の総額は公開相場でおおむね20万〜100万円。費用は工程の積み上げで決まり、人数に比例する部分が大きい。

公開されている相場から確認します。発注先比較サイトPRONIアイミツの相場解説(2025年1月更新)は、デプスインタビューのトータル費用をおおむね20万〜35万円前後としています。一方、ネットリサーチのSurveroidが運営するMarketing Research Journal(2026年1月公開)は、費用総額の目安を30万〜100万円以上としています。

レンジがここまで違うのは、どちらかが間違っているからではありません。対象人数・リクルートの難易度・納品物の深さの前提が違うからです。だからこそ、総額ではなく工程の内訳で見る必要があります。両者の掲載相場を工程別に整理すると、次のようになります。

工程何にかかる費用か公開相場の目安人数との関係
企画・設計調査企画、インタビューフロー(質問ガイド)の作成5万〜15万円前後固定
リクルート条件に合う対象者の募集・スクリーニング1人あたり1万〜1万5,000円前後人数に比例
謝礼対象者へ支払う謝礼1人あたり8,000円〜1万円前後人数に比例
モデレーター・実査実査の実施(人件費)実査費5万円〜(基本料金に含む場合あり)人数に比例
会場・機材インタビュールーム利用、録音・録画1時間あたり2万〜4万円前後実査時間に比例
書き起こし録音からの逐語録作成相場記事では個別に示されず、実査・分析費に含む場合と別建ての場合がある人数に比例
分析・レポート発言の整理、報告書の作成5万〜20万円前後準固定(人数が増えると増加)

表:従来のデプスインタビューを外部委託した場合の工程別費用。PRONIアイミツの相場解説(2025年1月更新)とMarketing Research Journal(2026年1月公開)の掲載相場を工程別に整理したもの。実際の金額は調査会社・条件により変動します。

この表から、費用構造の性質が読み取れます。リクルートと謝礼だけで1人あたり約1万8,000円〜2万5,000円。仮に5名実施なら、この人数比例分だけで9万〜12万5,000円になり、そこに企画・実査・会場・分析の費用が乗ります。人数を10名、20名と増やせば、リクルート・謝礼・モデレーター稼働・書き起こしがほぼ線形に積み上がっていきます。

期間も同じ構造です。日程調整と1対1の実査が逐次で進むため、企画から納品までは週単位でなく月単位の期間を見込むのが通例です。

従来のデプスインタビューが「n=5前後」で設計されることが多いのは、5人で十分だからというより、人数に比例する費用と期間が、それ以上のnを予算的に許さなかったからという側面がある。費用構造が、調査設計の上限を先に決めていた。

AIインタビューで、どの費用が消え・残り・変わるか?

会場・モデレーター稼働・書き起こしが構造的に消え、設計・謝礼・解釈は残る。人数比例の費用が縮むのが本質。

AIインタビューは、モデレーターの役割をAIが担い、回答者がURLを開いて都合のよい時間に声で答える方式です(仕組みの全体像はAIインタビューとはで解説しています)。この方式の変化を、前節の工程分解にそのまま当てると、費用の構造がどう変わるかが見えます。

工程従来のデプスインタビューAIインタビュー変化
企画・設計調査企画・質問ガイド作成に固定費が発生そのまま残る。実査をAIに任せる分、質を決める中核として比重はむしろ上がる残る
リクルート人数に比例して発生自社の顧客・社員リストへのURL配布なら大幅に縮む。外部から対象者を集める場合は残る変わる
謝礼人数に比例して発生人に答えてもらう以上なくならない。人数に比例して残る残る
モデレーター・実査1対1の逐次実施で、稼働が人数に比例AIがモデレートし同時並行で実査。人数が増えても人の稼働が比例しない消える構造
会場・機材実査時間に比例して発生URL配布の非同期実査のため不要消える
書き起こし録音から逐語録を作成回答が音声とテキストの両方で残るため、工程ごと不要消える
分析・レポート人が発言整理から報告書まで作成横断的な整理はAIが圧縮。解釈と意思決定への接続は人の仕事として残る変わる

表:工程別に見た費用構造の従来vsAI比較(構造の整理であり、個別の見積り金額を保証するものではありません)。

整理すると、消えるのは「実査のオペレーション」に紐づく費用——モデレーター稼働・会場・書き起こし——です。前節の表で「人数に比例」とマークした工程の大半がここに入ります。

残るのは謝礼と、人にしかできない仕事です。何を意思決定するために誰に何を聞くかという設計と、上がってきた語りの解釈・判断。ここはAIインタビューでも消えませんし、消してはいけない部分です(設計の作り方はデプスインタビューをAIで行うで手順化しています)。

この変化がもたらす最大の実務的意味は、値引きではありません。「1人追加するときの増分費用」が謝礼(と必要ならリクルート費)まで縮むことです。従来は1人増やすたびにリクルート・謝礼・モデレーター稼働・書き起こしが全部積み上がったのに対し、AIインタビューでは人数を10名から30名に増やしても、人の稼働と期間がそれに比例しません。

AIインタビューの価格の本質は「総額が下がる」ことではない。「nを増やす限界費用が下がる」ことだ。この違いが、次節以降の予算の使い方を変える。

セルフ型AIインタビューツールの料金はいくらか?

セルフ型は1名数千円台からの公開価格が登場した。ただし価格に含まれる工程の範囲が製品ごとに大きく違う。

2026年時点で、AIインタビューの提供形態は大きく2つに分かれます。担当者が自分でツールを操作するセルフ型と、設計から納品物まで提供側が担うマネージド型です。価格の「出方」がまったく違うため、混ぜて比較すると誤ります。

セルフ型では、1名あたりの公開価格を出す製品が現れています。例としてプロダクトフォース社のユニーリサーチ AIインタビューは、公式ページで1名あたり6,000円〜(サービス利用料4,500円+対象者への謝礼1,500円〜)、インタビュー最大20分という価格を公表しています(2026年7月時点・同社公式サイトより)。前節の構造で言えば、実査オペレーションの費用が消えた分が、そのまま価格の桁に表れている形です。

一方マネージド型は、対象範囲・人数・納品物で構成が変わるため、個別見積りが基本です。両者の違いを整理します。

観点セルフ型ツールマネージド型(委託)
価格の出方1名あたりの公開価格(数千円台〜の例がある)個別見積り(対象範囲・人数・条件・成果物で変動)
価格に含まれる範囲ツール利用・実査・自動集計が中心。設計と解釈は自社の仕事調査設計から実査・分析・報告書・報告会までを含む構成が多い
設計の担い手自社の担当者(設計スキルが結果を左右する)提供側の専門チーム
向く場面調査設計に慣れた担当者が、速く安く回したい場合設計ごと任せ、稟議・意思決定に使える納品物まで求める場合

表:セルフ型とマネージド型の価格構造の違い(2026年7月時点・各社公式サイトの公開情報に基づく整理)。

ここで注意すべきは、1名あたり価格の安さと、調査プロジェクトの総費用は別物だという点です。セルフ型の価格には、質問ガイドの設計・結果の解釈・報告書作成という「人の仕事」が含まれません。社内にその工数と技能があるなら合理的な選択ですし、なければ設計と解釈を含むマネージド型のほうが総コストは読みやすくなります。

TechWorkerのAIインタビュープラットフォームCoeSignalはマネージド型で、設計から報告書までを一括で引き受け、担当者にお願いするのは対象者リストの提供と報告会への出席のみという形を取ります。料金は対象範囲・人数・条件・成果物によって変動するため、個別のお見積り(要問い合わせ)です。公式サイトでは、相談時に概算をその場で伝えること、回答率が伸びない場合は対象者の追加や設問の見直しを追加費用なしで行うことが公開されています。また、依頼して任せる形(Managed Research)では、提携ネットワーク100万人以上から条件に合う対象者の募集にも対応します。

「安くする」より、同じ予算で何を最大化すべきか?

浮いた実査費用は値下げでなく、n数の拡大と納品物の質に再配分する。同予算で買えるのは結論の確からしさだ。

費用構造が変わったとき、多くの検討は「では従来より安くできますね」で止まります。それは選択肢の半分しか見ていません。実査オペレーションの費用が縮んだとき、取れる選択は2つあります。総額を下げるか、同じ総額のまま調査の中身を厚くするか。意思決定のための調査なら、後者を先に検討すべきです。

従来の予算配分 — 実査に吸われる
総額の大半がリクルート・謝礼・モデレーター稼働・会場・書き起こしという実査のオペレーションに配分される。結果、nは5名前後で固定され、納品物は逐語録と報告書1回分になりやすい。
再配分後の考え方 — 確からしさを買う
実査オペレーションの比重が下がった分を、n数の拡大・対象セグメントの追加・判断に使える納品物・2段階の実査(パイロット→本番)に配分する。総額は同じでも、結論の確からしさが変わる。

図:同じ予算の再配分の考え方(定性的な整理・※イメージ)。金額の配分比率は調査ごとに異なります。

再配分先は4つあります。

  1. n数を「飽和」まで広げる。定性調査の人数は、新しい発見が増えなくなる飽和が目安です。従来は予算が先にnを決めていましたが、増分費用が縮んだことで「発見が増え続けている間は聞き足す」設計が現実的になりました(人数の考え方はAIインタビューは何人に聞くべきかで掘り下げています)。
  2. 対象セグメントを増やす。従来なら1属性5名で精一杯だった予算で、「継続顧客と解約者」「ヘビーユーザーとライトユーザー」のように複数セグメントへ広げ、比較の構造を作れます。比較ができると、示唆は一段具体的になります。
  3. 納品物を「判断に使える形」まで仕上げる。逐語録の山で納品が終わると、そこから示唆を出す仕事が社内に残ります。結論・反証・引用元まで遡れる形に仕上げる工程へ予算を残すほうが、調査の投資対効果は上がります(この工程はインタビュー分析をAIで行うで扱っています)。
  4. 1回で終わらせず、2段で聞く。少人数のパイロットで質問ガイドを磨いてから本番に入る、本番の途中で論点を絞って追加で聞く——従来は費用と期間が許さなかった反復が、予算内に収まるようになります。

実際に20名規模で実査から横断集計まで到達した過程は、サンプル調査の分析ノートで公開しています。同じ予算で「5名の逐語録」と「20名の判断メモ」のどちらを取るか——これは費用の議論ではなく、意思決定の質の議論です。

稟議の書き方も変わる。「調査費を下げました」より「同じ予算で、n数と納品物をここまで厚くしました」のほうが、意思決定に効く投資として説明できる。

見積もりを取るとき、何を確認すべきか?

総額でなく、含まれる工程・人数追加の増分費用・納品物の形の3点で比較する。総額の安さだけでは選べない。

ここまでの構造を踏まえると、見積もり比較のチェックリストは次の6項目に絞れます。総額の大小より先に、この6つを確認してください。

  1. 価格に含まれる工程の範囲。企画・設計、リクルート、謝礼、実査、分析、報告書のうち、どこからどこまでが価格に含まれているか。セルフ型とマネージド型では前提がまったく違います。
  2. 人数を増やしたときの増分費用。1人追加あたりいくらか。ここが小さいほど、飽和までnを広げる設計が取りやすくなります。従来型では最も重く、AIインタビューでは謝礼中心まで縮む部分です。
  3. 納品物の形。逐語録・集計表で終わるのか、結論から引用元の発言・原音声まで遡れる形か。納品後に社内で発生する作業量が大きく変わります。
  4. 回答の質の担保。不良回答・不正回答をどんな基準で検出・除外するか。n数が増やしやすいからこそ、数のかさ増しではなく有効回答の質を問う必要があります。
  5. 回答が集まらないときの扱い。回答率が想定を下回った場合、対象者の追加や設問の見直しは誰の負担で行うのか。契約前に確認すべき項目です。
  6. データの扱い。音声・発言の利用許諾の取り方、保存の範囲、匿名性の設計。顧客や社員の声を扱う以上、価格より先に外せない確認です(社内調査での設計論点は社内AIインタビューの公開事例10選が参考になります)。

CoeSignalへの相談では、調査の目的・対象範囲・人数の想定を伝えれば、この6項目に沿った構成と概算をその場で確認できます。料金は調査設計により変動するため一律の価格表はありませんが、1部門・1週間の小さな範囲から始める進め方が公開されています。無料相談は検討段階の壁打ちでも歓迎です。

よくある質問

従来のデプスインタビューを外部委託すると、費用はいくらかかりますか?

公開されている相場記事では、プロジェクト総額でおおむね20万〜100万円のレンジが示されています。PRONIアイミツの相場解説(2025年1月更新)は総額20万〜35万円前後、Surveroid運営のMarketing Research Journal(2026年1月公開)は30万〜100万円以上を目安としています。レンジが広いのは人数・納品物・リクルート難易度の前提が違うためで、総額ではなく工程の内訳ベースで見積もりを比較するのが実務的です。

AIインタビューはなぜ従来より費用を抑えられるのですか?

従来の費用のうち人数に比例して増えていた部分——モデレーターの稼働・会場・書き起こし——が構造的に不要になるからです。AIがモデレートし、回答者はURLを開いて都合のよい時間に答えるため、実査の人件費と期間が人数に比例しません。一方で、対象者への謝礼、問いの設計、結果の解釈と判断は残ります。「安くなる」というより「人数を増やしたときの増分費用が小さい構造に変わる」と捉えるのが正確です。

費用が下がると、調査の質も下がりませんか?

下がるのは実査のオペレーションにかかる費用であり、調査の質を決めるのは設計です。誘導的な質問ガイドで実施すれば、従来手法でもAIでも質の低い結果になります。むしろ実査費用が縮んだ分をn数の拡大と納品物の仕上げに再配分すれば、同じ予算で結論の確からしさを上げられます。ただし、表情や場の空気の観察が本質の調査は、熟練モデレーターによる従来手法が今も適します。

CoeSignalの料金はいくらですか?

対象範囲・人数・条件・成果物によって変動するため、個別のお見積りとなります。公式サイトでは、1部門・1週間の小さな範囲から始められること、相談時に概算をその場で伝えること、回答率が伸びない場合は対象者の追加や設問の見直しを追加費用なしで行うことが公開されています。まず無料相談で調査の目的と対象を伝え、概算を確認するのが早い進め方です。

出典:PRONIアイミツ「デプスインタビューの費用相場」(2025年1月8日更新)/Marketing Research Journal「デプスインタビューの費用は?」(Surveroid運営・2026年1月22日公開)/ユニーリサーチ AIインタビュー 公式ページ(2026年7月時点)。他社サービスへの言及は各社公式サイトで確認できる公開情報のみに基づきます。相場・価格は変動するため、実際の発注時は各社の最新情報を確認してください。

古野光太朗
古野光太朗 / 株式会社TechWorker 代表取締役

上場企業を含む37社・2,500名の生成AI導入・研修を支援。「AIはエンジンだ。コンテキストは燃料だ。」を掲げ、企業の業務文脈をAIが扱える形に整える「コンテキスト整理」を専門とする。AIが顧客や現場の声を一人ずつ深掘りするAIインタビュープラットフォーム「CoeSignal」を提供し、定性調査の設計から根拠に遡れる判断メモづくりまでを支援している。

「いくらかかるか」は、調査の目的と対象で決まる。

CoeSignalの料金は、対象範囲・人数・条件・成果物によって個別にお見積りします。調査の目的を伝えていただければ概算をその場でお答えします。予算の使い方の壁打ちからでも歓迎です。

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